「医学生のマッチングって何?」「いつ、何をすればいいの?」「マッチング対策はいつから始めるべき?」——医学部に入ったばかりの人も、5・6年生で就活が迫ってきた人も、こんな疑問を持っているのではないでしょうか。
結論から言うと、医学生のマッチングとは、卒業後の研修先(初期研修の病院)を決める、医学部6年生の就活にあたる制度です。学生と病院が希望順位を出し合い、コンピュータが一定のルールで組み合わせを決めます。
2026年度のスケジュールは、6月に参加登録が始まり、9月に希望順位の登録、10月に結果が発表されます。マッチング対策は、6年生になってから慌てるのではなく、4・5年生のうちから病院見学や情報収集を始めるのがおすすめです。
この記事では、地方国公立医学部を卒業し、中くらいの人気の病院にマッチして、現在は市中病院で研修医1年目として働いている私が、マッチングの仕組み・登録の流れ・スケジュール・対策を、公式の情報と実体験をもとに解説します。

医学生の就活は、普通の就活と違って、ちょっと「お見合い」っぽいんです。ドキドキの仕組みを、わかりやすく説明していきますね!
医学生のマッチングとは?
マッチングは医学部生の就活
研修医マッチングとは、医師免許を得て臨床研修を受けようとする人(研修希望者)と、臨床研修を行う病院の研修プログラムとを、お互いの希望をもとに、一定のルール(アルゴリズム)に従ってコンピュータが組み合わせを決める仕組みです。平成16年度に医師の臨床研修が義務化されたことにあわせて導入されました。
普通の就活では、企業にエントリーして、面接を受けて、内定をもらいます。医学生の場合は、病院の採用試験や面接を受けたうえで、「行きたい病院の希望順位」を登録し、その結果をもとに卒業後の研修先が決まる、という流れです。
参加できるのは医学部6年生・既卒者
マッチングに参加できるのは、次の人です。
- 医学部6年生:医師国家試験を受験する予定で、当該年度の3月に卒業見込みの人
- 医学部既卒者:医師国家試験を受験する予定の人、など
参加は任意で、学生側は無料で参加できます。なお、過去にマッチングに参加して決まった病院で研修をしなかったことがある人は、原則として参加できません(国試不合格・留年・退学が理由の場合を除く)。
医学部マッチングの仕組み
学生と病院が希望順位を出す
マッチングの仕組みは、ざっくり言うとこうです。
- 学生は、病院の採用試験や面接を受けたうえで、「研修したい病院」を希望順位の順に登録する
- 病院も、選考した学生の中から「採用したい学生」を希望順位の順に登録する
- お互いの希望順位をもとに、コンピュータが組み合わせを決める
大事なのは、希望順位表に載っている組み合わせ以外は、決して生じないということです。研修したくない病院は、最初から登録してはいけません。
組み合わせは「学生の第1希望」から決まる
マッチングの際には、第1希望の研修プログラムとマッチできるかから調べていき、そこでマッチすれば、その人のマッチングは終了します。つまり、第1希望には、本当に行きたい病院を書くのが大切です。
「人気だから」と、本当の第1希望ではない病院を第1希望にしても、マッチする確率は上がりません。むしろ、本来の第1希望の病院とマッチできる可能性が下がってしまいます。
マッチングの特徴と注意点
JRMPが示している、参加者向けの主な注意点は次のとおりです。
- 参加して組み合わせが決まったら、その結果に従う(参加登録した人は必ず結果に従う)
- 研修を希望する病院の選考手続き(採用試験など)は必ず受ける。受けなければ、病院側の希望順位表に載らず、マッチできない
- 希望順位表には、研修したい病院だけを、希望する順番どおりに入力する
- 中間公表を見て不安なときは、順位を変えるのではなく、希望順位表に載せる病院の数を増やす
- 締切時刻になると、作業の途中でも受付が終了する(スケジュールのページに記載)
特に、決まった結果には従うことになっているので、行きたくない病院は登録しないこと、そして締切は絶対に守ることが大切です。
医学部マッチングはいつ?スケジュール
臨床研修マッチングスケジュール2026
臨床研修マッチングのスケジュールは、毎年度、JRMPが決めます。2026年度(卒業後の2027年4月から研修開始)の日程は次のとおりです。
- 6月4日(木)14時:参加登録開始
- 7月30日(木)14時:参加登録締切
- 9月10日(木)14時:希望順位登録の受付開始
- 9月24日(木)14時:希望順位登録の中間公表前締切
- 9月25日(金)14時:中間公表
- 10月8日(木)14時:希望順位登録の最終締切
- 10月22日(木)14時:組み合わせ結果発表
つまり、マッチング本番は6年生の秋で、結果は10月下旬に出るということです。結果が出たあとは、卒業試験や国家試験の勉強に集中する流れになります。
中間公表とは?
中間公表とは、各研修プログラムを第1希望に登録している参加者の人数を、公表するものです(前日の締切時点の人数)。「自分の志望する病院の人気度」を知る目安になります。
ただし、中間公表のあとも、最終締切までは何回でも希望順位の登録・変更ができます。
マッチング対策スケジュール【4〜6年生】
公式の日程とは別に、実際の対策は、もっと早くから始める必要があります。私の経験をもとにした流れは次のとおりです。
- 4・5年生:大人気の病院から地元の病院まで、幅広く病院見学に行く(私は合計7〜8か所)
- 6年生になる前:自分に合う病院、自分が重視することを決める
- 6年生の春〜夏:受ける病院に絞って見学に行く(受験する病院は3回)。履歴書などの書類を準備する
- 6年生の7〜8月ごろ:病院の採用試験・面接を受ける
- 6年生の秋:希望順位を登録し、結果発表を待つ
医学生のマッチング登録の流れ
「マッチングの登録って、具体的に何をするの?」という人のために、参加登録から結果確認までの流れを整理します。
- 参加登録:参加登録用のID・パスワードを受け取り、マッチングシステムで参加登録をする(6月〜7月。ID・パスワードの受け取り方は、大学の案内で確認してください)
- 病院の選考を受ける:希望する病院の採用試験・面接を受ける
- 希望順位登録:選考を受けた病院の中から、研修してもよい病院を、希望順に登録する(9月〜10月)
- 中間公表を確認する
- 最終締切までに、必要なら希望順位を追加・修正する
- 結果発表:マッチングシステムで、マッチした病院を確認する(10月下旬)
- 組み合わせが決まったら、採用の仮契約を結ぶ
ポイントは、参加登録をしても、病院の選考を受けなければ、その病院にはマッチできないことです。採用試験は、病院ごとに日程や内容が違うので、早めに確認しておきましょう。
医師初期研修マッチングの数字
厚生労働省の発表では、令和7年度(令和8年度から研修開始)の医師臨床研修マッチングは、次のような結果でした。
- 参加病院:1,026病院(研修プログラム1,470、募集定員10,527人)
- 希望順位を登録した人:9,651人
- 内定者:8,910人
- 内定率:92.3%
- 結果の公表:令和7年10月23日
希望順位を登録した人のうち、約92%の人が研修先の病院が内定しています。計算すると、約741人(9,651人−8,910人)は、この時点では内定していません(計算値)。
第何希望でマッチする?
マッチした8,910人のうち、第何希望でマッチしたかの内訳は次のとおりです。
- 第1希望:5,403人(60.6%)
- 第2希望:1,540人(17.3%)
- 第3希望:872人(9.8%)
- 第4希望以下:1,095人(12.3%)
第3希望までにマッチした人は、全体の87.7%です。つまり、マッチした人のうち、第1希望で決まったのは約6割で、残りの約4割は第2希望以下で決まっています。また、参加者が希望順位表に登録した研修プログラムの数は、平均5.22プログラムでした(令和6年度は4.62)。
研修先の種類で見ると、マッチした人のうち、臨床研修病院(市中病院など)が5,778人(64.8%)、大学病院が3,132人(35.2%)でした。
医学生のマッチング対策【私の体験談】
私は中くらいの人気の病院にマッチした
私がマッチしたのは、中くらいの人気の病院です。毎年フルマッチ(定員が埋まる)で、第一志望にしていても落ちる人がいるくらいの、ちょうど真ん中あたりの病院でした。
実際にやってみて感じたのは、マッチングで大切なのはCBTの成績・病院の採用試験・面接だということです。英語資格は、私の志望した病院ではまったく影響しませんでした。
病院見学は7〜8か所、受験病院は3回
病院見学は、時期によってやり方を変えました。
- 4・5年生:大人気の病院から地元の病院まで、幅広く見学(合計7〜8か所)
- 6年生:受ける病院に絞って見学(受験する病院は3回見学)
ある程度人気の病院であれば、最低3回は病院見学に行った方がいいと思います。私も、受験する病院には3回行きました。
私が検討した病院は4タイプ
受験を検討した病院は、大きく分けて次のタイプでした。病院名や地域がわからないよう、タイプだけ紹介します。
- 都市部の人気病院
- 地方都市部の大規模病院(三次救急)
- 地方都市部の中〜大規模病院(二次救急)
- 地方都市部の小〜中規模病院(二次救急)
同じ「市中病院」でも、救急の規模(三次救急か二次救急か)や病院の規模によって、研修の雰囲気はかなり変わります。人気や倍率だけで選ばず、自分に合うかどうかで比べるのが大切だと感じました。
病院を比べるときに見た項目
各病院の研修プログラムの資料を取り寄せたり、ホームページで確認したりして、次の項目を比べました。
- 救急の種類(三次・二次)と病院の規模
- 必修科目の期間の配分と、自由に選べる選択期間の長さ
- 協力病院での研修(精神科・地域医療など)の有無
- レクチャーや研修医勉強会などの教育体制
- 採用試験の形式・日程と、提出書類
- 指導体制のタイプ(指導医がマンツーマンで見てくれるか、1つ上の研修医が教える「屋根瓦式」か)
- 裁量の大きさ、研修医の人数、周辺環境(暮らしやすさ)
プログラムは、見た目は似ていても、必修と選択の配分や、レクチャーの頻度が意外と違います。資料だけでなく、病院見学で研修医の先生に直接聞いて、確かめておくのがおすすめです。
志望病院を決める4つのポイント
- 気になっている科、志望する科があるか
- 研修医の人数は少なすぎないか
- 給料は十分か
- ハイパー病院か、ハイポ病院か
①気になる科・志望科があるか:まず、自分が気になっている科があるかを確認します。もし、その病院に気になっている科や志望科がなければ、やめておいた方がいいかもしれません。
②研修医の人数:研修医の人数が少なすぎると、性格の合わない人や苦手な人がいた場合に、逃げ場がなくなってしまうかもしれません。
③給料:給料は多い方がいいと思います。他の研修医の人と、どうしても比べてしまうからです。
④ハイパーかハイポか:研修医の間でよく使われる言い方で、ハイパー病院は忙しくて症例が多い病院、ハイポ病院は比較的ゆったりした病院を指します。どちらが合うかは気にした方がいいですし、ハイパーすぎる病院は、自分が潰れてしまわないように注意してください。
受ける病院は6年生になる前に決める
情報を集めて、自分の研修先としてどこがいいか、どこが合うかを考えるのは大切です。ただ、6年生のマッチング直前になって、受ける病院を迷っていると、他人の意見や、他の受験生の動向に惑わされてしまいます。
だからこそ、自分に合う病院はどこか、自分が何を重視するのかを、できれば6年生になるまでに決めておくのがおすすめです。そして、6年生は、その病院に受かるための対策をする時期、顔を売るために病院見学に行く時期にするのがいいと思います。

病院見学は、いわば「お試し同棲」みたいなもの。見られているのは自分だけじゃありません。こちらも病院の雰囲気をしっかり見る側です。気になることは遠慮せず、研修医の先生に聞いてしまいましょう!
医学生のマッチング対策:履歴書・面接・送付状
ここからは、採用試験と提出書類の全体像です。私自身の準備と、過去の受験報告(先輩が残してくれた資料)で見た傾向をもとにしています。細かい書き方は、それぞれの記事にまとめました。
採用試験は6年生の夏に集中する
私が受験を検討した病院では、採用試験は6年生の7月〜8月ごろに、2日程ほど設けられていて、希望日を選んで申し込む形式が多くありました。病院によって日程は違うので、早めに各病院のホームページや募集要項で確認してください。
試験の形式も病院ごとにさまざまです。たとえば、過去の受験報告では、小論文(制限時間50分・800字程度)のあとに、1人10分程度の面接が行われる病院もありました。受ける病院の試験の形式は、必ず事前に確認しておきましょう。
提出書類は履歴書・証明書・申込書
採用試験に申し込むときに、私が準備した書類は、主に次のとおりです。病院によって指定が違うので、必ず確認してください。
- 履歴書(学歴、趣味・特技・資格、志望の動機、部活動などを書く欄がある)
- 卒業見込証明書
- 成績証明書
- 写真(3か月以内に撮影した、縦4cm×横3cmの上半身のものなど)
- 病院独自の申込書(2年目に選びたい科、将来の希望科、将来の目標・アピールしたいことを書く欄がある)
履歴書は、病院にとって「どんな人か」を知る最初の資料であり、面接で聞かれる内容のもとにもなります。実際、過去の受験報告でも、「履歴書に書いた内容を深く聞かれることが多い」という印象が書かれていました。
面接は「型」を作って、同期と練習する
面接の質問は、志望動機・自己PR・医師像・併願などに、ある程度パターンが決まっています。過去の受験報告では、併願先や第1希望かどうかを聞かれる病院があることもわかりました。答え方は、あらかじめ考えておきましょう。
私は、質問ごとに回答を書き出して、大学の同期と模擬面接をしました。実際に聞かれた質問と、私の回答の要点は、こちらの記事にまとめています。
アンマッチしたらどうなる?二次募集
マッチングで研修先が決まらなかった場合(アンマッチ)は、マッチング終了時点での空席状況(まだ採用可能な人数)が提供され、二次募集をしている病院に応募することになります。
二次募集の時期は、卒業試験や国家試験の勉強の時期と重なります。そのため、一次のマッチングで研修先を決めておきたいところです。そのためにも、希望順位表には、研修してもよいと思える病院を、ある程度の数載せておきましょう。
医学生のマッチングのよくある質問
Q. 対策はいつから始めるべき?
A. 私の経験では、4・5年生で幅広く病院見学に行き、6年生になる前に志望病院を決めるのがおすすめです。
Q. 決まった病院を辞退できる?
A. JRMPの規定では、参加登録した人は、決まった組み合わせの結果に従う必要があります。辞退を前提にせず、本当に研修したい病院だけを登録してください。
Q. 地域枠の学生も参加する?
A. 地域枠かどうかにかかわらず、参加資格を満たせばマッチングに参加できます。ただし、地域枠では研修先や勤務先に地域の指定があることがあるため、契約内容は必ず大学や都道府県に確認してください。
まとめ:マッチングは早めの準備が大切
- マッチングとは、卒業後の研修先を決める、医学部6年生の就活にあたる制度
- 学生と病院が希望順位を出し、コンピュータが組み合わせを決める
- 2026年度は、6月に参加登録、9月に希望順位登録、10月22日に結果発表
- 決まった結果には従う。締切は守る。第1希望には本当に行きたい病院を書く
- 令和7年度は、内定率92.3%。マッチした人のうち第1希望で決まったのは約6割
- 対策は4・5年生から。幅広く見学し、6年生は受ける病院に絞る
- 6年生になる前に、自分に合う病院・重視することを決めておく
- アンマッチなら二次募集。だからこそ一次で決めたい
マッチングは、卒業後の研修先を決める、大事なイベントです。早めに動き出して、自分に合う病院を見つけてください。この記事が、これからマッチングに臨む医学生の参考になればうれしいです。



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