「マッチングの面接って、何を聞かれるの?」「どんな準備をすればいいの?」——採用試験が近づくと、面接への不安が大きくなりますよね。
結論から言うと、マッチングの面接で一番大切なのは、飾らずに、自分の言葉で、自分の考えを伝えることです。質問の内容は、志望理由・長所短所・学生時代に頑張ったこと・医師像など、ある程度パターンが決まっています。事前に回答を書き出して、同期と練習しておけば、慌てずに答えられます。
私は、3つの病院を受験しました。2つは地方都市の中程度に人気の病院、もう1つは毎年だいたい定員に余裕がある病院で、いわゆる滑り止めです。この記事では、地方国公立医学部を卒業し、現在は市中病院で研修医1年目として働いている私が、面接の形式・実際の質問と回答・準備したことを、実体験をもとに解説します。

面接って、緊張しますよね。でも、準備した分だけ、ちゃんと自信になります。私の回答の「要点」も紹介するので、参考にしてください!
医学生マッチングの面接とは?
面接は病院の採用試験の一つ
マッチングで希望順位を登録するには、その病院の選考手続き(採用試験など)を受けていることが必要です。受けなければ、病院側の希望順位表に載らず、その病院にはマッチできません(医師臨床研修マッチング協議会の注意事項)。
病院の採用試験には、面接のほかに、筆記試験や小論文がある病院もあります。面接は、ほとんどの病院で行われる、一番重要な試験の一つです。
医学部マッチング面接で見られること
面接は、医学の知識を細かく試される場というより、人柄や働く姿勢を見られる場、という印象でした。一般的にも、次のような点を見られていると言われています。
- 人柄・誠実さ:この人と一緒に働きたいか
- 意欲・志望度:本当に自分の病院に来たいのか
- 病院理解:病院の特徴を理解したうえで志望しているか
- コミュニケーション:質問の意図をくんで、わかりやすく話せるか
- マナー:挨拶、敬語、時間を守る、清潔感
私のマッチング面接の体験談
受験した3病院と、面接の形式
私が受験した病院は、全部で3つです。
- 地方都市の中程度に人気の病院:2つ
- 毎年だいたい定員に余裕がある病院:1つ(滑り止め)
面接の形式は、どの病院も自分1人に対して、多数の面接官が質問してくる形式でした。
- 面接官の人数:3〜8人(医師、看護師など、いろいろな職種の方がいた)
- 面接の時間:短いところで5分、長いところで15分程度
- 雰囲気:和やか。緊張はするが、圧迫される感じはなかった
実際に受けてみて、どの病院も雰囲気は和やかで、圧迫される感じはありませんでした。面接官に、看護師さんなど医師以外の職種の方がいるのも、特徴でした。
滑り止めの病院も受けるべき?
私は、定員に余裕がある病院も、滑り止めとして1つ受験しました。ただし、JRMPの案内では、希望順位表には「選考を受けた研修病院の中から、入職(研修)しても良いと思う研修プログラムのみ」登録することとされています。滑り止めであっても、「ここで研修してもいい」と思える病院を選ぶのが大切です。
マッチング面接の質問集【準備した質問】
私が面接に向けて準備した質問と、過去の受験報告で多かった質問を、カテゴリ別にまとめました。医学部マッチングの面接質問集として、準備の参考にしてください。
志望動機・病院に関する質問
- なぜこの病院を志望したのか(志望理由)
- 病院見学で印象に残っていること
- なぜこの地域で研修したいのか
- 初期研修2年間を、どのようなものにしたいか
- 初期研修のあと(後期研修)は、どうするか
- 将来の志望科とその理由
自己PR・人柄に関する質問
- 学生時代に頑張ったこと(部活・それ以外)
- 長所と短所
- 失敗や挫折の経験
- 部活やアルバイトで大変だったこと
- 自分の強みを、医療現場でどう活かせるか
医師像・価値観に関する質問
- 医師を志した理由
- 尊敬する人とその理由(理想の医師像)
- 患者さんや他職種と信頼関係を築くうえで、心がけていること
- チームで意見が分かれたとき、どう解決するか
併願・その他の質問
- 併願している病院はあるか、この病院が第1希望か(実際に聞かれた病院があった)
- 何か質問はあるか(逆質問)
実際の質問と私の回答【要点】
ここからは、私が準備して回答した内容の要点です。病院や個人がわからないように、内容を一般化しています。丸暗記ではなく、「型」を参考にしてください。
志望理由は2つに絞り見学体験を添える
志望理由は、理由を2つに絞り、それぞれに病院見学での具体的な体験を添えました。
- 教育体制が充実している(見学で、レクチャーや勉強会の様子を見たり、参加したりした経験を添える)
- 症例が豊富で、幅広い経験が積める(見学で、実際の患者さんへの対応を見た場面を添える)
病院によって、理由の数や内容は変えました(私の場合、2つの理由で答えた病院もあれば、4つの理由を用意した病院もありました)。最後に、「自分も、そんなふうに患者さんに向き合える医師になりたい」と、その病院で研修したい気持ちにつなげて終わるようにしました。
見学で印象に残ったこと
見学で印象に残ったことは、「実際に見た場面」と「そこから学んだこと」をセットで答えました。たとえば、救急外来で、医師が客観的な指標やガイドラインをもとに入院の必要性を判断していた場面を見て、「経験だけでなく、根拠にもとづいて診療することの大切さを実感した」という流れです。
学生時代に頑張ったこと
学生時代に頑張ったことは、次のように、複数の経験を、自分の強み(協調性・継続力・責任感)にまとめて答えました。
- 部活動:チームで考えて行動した経験から、主体性と協調性を学んだ
- 趣味:毎日練習を続けてきた経験から、継続力を身につけた
- アルバイト:接客を通して、相手の立場に立って考える姿勢を身につけた
最後に、「これらの強みを、医療チームの一員として活かしたい」とつなげました。
長所と短所は改善策をセットに
長所は「協調性」と「継続力」、短所は「慎重すぎて、判断に時間がかかること」と答えました。短所は、言いっぱなしにせず、改善のために実際にやっていることと、エピソードをセットにするのがポイントです。
- 短所を言う:慎重すぎて、判断に時間がかかる
- エピソード:接客のアルバイトで、迷っているうちにタイミングを逃してしまったことがある
- 改善策:今は「まず考えを整理して、必要なら早めに先輩に相談する」ようにしている
強みを医療現場でどう活かすか
「医療現場は、医師だけでなく、看護師・薬剤師・事務の方など、多職種の連携が重要。自分の考えを一方的に通すのではなく、周囲の声に耳を傾け、柔軟に対応することで、チームの一員として信頼されたい」という内容で答えました。患者さんやご家族の意向を、丁寧にくみ取る力にもつながる、と付け加えました。
信頼関係を築くために心がけること
心がけていることは、次の2つに絞って答えました。
- 相手の立場に立って考え、丁寧に耳を傾けること
- 正直であること(わからないこと、できないことは、無理にごまかさず、「わかりません」「できません」と伝える)
特に2つ目は、その場しのぎで「わかる」と言ってしまうと、あとでミスにつながり、かえって信頼を失うと考えているからです。
チームで意見が分かれたら
チームで意見が分かれたときの答えは、次の順番にしました。
- まず、相手の意見にしっかり耳を傾ける
- なぜその意見に至ったのか、背景や意図を理解する
- そのうえで、自分の考えを冷静に伝える
- 全体の目標を再確認し、個人の主張ではなく、チームとして最善の選択を探す
理想の医師像:尊敬する人の姿で答える
「理想の医師像」は、「尊敬する人」の話として、実習でお世話になった先生の姿を例に答えました。
- 患者さんだけでなく、看護師さんなど他職種の意見を丁寧に聞き、チーム全体で患者さんを支えていた
- 忙しいなかでも論文を読むなど、学び続ける姿勢を大切にしていた
- そこから、向上心とチーム医療の大切さを学んだ。自分も、そんな信頼される医師になりたい
ポイントは、抽象的な「優しい医師」ではなく、実際に見た具体的な姿を話すことです。そのほうが、説得力が出ますし、面接官も、あなたの価値観がイメージしやすくなります。
初期研修を、どのようなものにしたいか
初期研修については、「救急の現場で、初療にしっかり取り組み、緊急時の判断力や対応力を身につけたい」「各科をローテーションするなかで、専門性にこだわらず、幅広く積極的に取り組み、臨床医としての土台を築きたい」という内容で答えました。志望科が決まっていても、初期研修では幅広く学ぶ姿勢を見せるのがポイントだと思います。
医師を志した理由
「医師を志した理由」は、ほぼ必ず聞かれる質問です。立派な理由を作るより、自分の経験にもとづいた、自分の言葉で話すことが大切です。きっかけ→今の思い→この仕事で何をしたいか、の順にすると、まとまります。
私の場合は、中学生のとき、ケガで手術を受け、先生に助けていただいたことがきっかけでした。それまで遠い存在だった医師という職業が身近なものになり、次第に「自分も医師になりたい」と思うようになった、という流れで答えました。
大げさな理由でなくても、自分の実体験にもとづいていれば、それで十分に伝わります。
どんな医師になりたいか・志望科が変わるか
「どんな医師になりたいか」には、「患者さんに長く寄り添える医師」「全身を診る広い視野を持った医師」という2本柱で答えました。そのうえで、「まずは症例が豊富で、教育環境の整った現場で、幅広い経験を積みたい」と、その病院での研修につなげました。
「志望科が変わることはあるか」と聞かれる可能性もあります。私は、「医師になって責任が出てきたり、働き方に限界を感じたりしたら、考え直すこともあると思う。それでも、自分が興味を持って頑張れる分野を選びたい」と、正直に答える内容にしていました。
地域医療・後期研修・研究について
病院によっては、次のような質問も聞かれます。事前に考えをまとめておくと安心です。
- 地域医療における、研修医の役割は何か:「病気だけでなく、患者さんが地域でどう暮らしていくかを意識し、行政・福祉・介護の方々とも連携する」という方向で考えた
- 初期研修のあと(後期研修)はどうするか:その病院で続けたいか、理由とあわせて答えられるようにした
- 研究はどうするか:まだ明確でなくても、「キャリアの選択肢を広げる意味で大学院も考えている」など、正直に答えられるようにした
- 最後に言いたいこと:「継続して学ぶ姿勢と協調性を土台に、一歩ずつ成長したい」と、一言でまとめた
小論文もある病院があった
私が受験を検討した病院の中には、面接と同じ日に、小論文(800字・50分〜1時間程度)がある病院もありました。お題の例は、次のようなものです。
- 自分の性格で、医師に向いていると思うもの・向いていないと思うもの(理由もあわせて)
- 初期研修として働くにあたって、守りたい行動や決意
どちらも、面接で準備した内容(長所・短所、研修に臨む姿勢)がそのまま使えます。面接の回答を書き出しておくと、小論文の対策にもなります。構成は、「結論→経験(エピソード)→医療現場での活かし方・改善策→まとめ」にすると書きやすいです。

「面接は準備が9割」とよく言いますが、本番はたいてい緊張で頭が真っ白になります(笑)。だからこそ、声に出して練習しておくのが大事。真っ白になっても、口が勝手に答えてくれます!
マッチング面接で準備したこと
①質問ごとに回答を文章で書き出した
想定質問を書き出し、質問ごとに、回答を文章にして書いておきました。書き出すと、自分の考えが整理され、「ここが曖昧だな」という部分に気づけます。ただし、本番で丸暗記した文章を話すのではなく、要点だけを覚えて、自分の言葉で話すようにしました。
②履歴書の内容と一貫させた
面接は、履歴書をもとに聞かれることが多いです。履歴書に書いた志望動機・自己PR・長所短所と、面接の回答が食い違わないように、内容をそろえて準備しました。
③大学の同期と、2〜3回模擬面接をした
一番役に立ったのは、大学の同期との模擬面接です。2〜3回ほど、お互いに面接官役と受験者役をやって、フィードバックし合いました。
- 本番の予行演習ができた
- 話し方、表情、姿勢、敬語を、客観的に指摘してもらえた
- 面接官役をやると、「どんな答えだと印象がいいか」がわかった
頭の中でわかっていても、声に出すと、うまく話せないものです。声に出して練習する機会を、必ず作ってください。
④「ハローマッチング」を1冊持っておく
「ハローマッチング」には、それぞれの病院の特徴や情報、実際にされた質問、小論文の内容などが載っています。病院ごとの対策に役立つので、1冊持っておくと便利です。
- 値段が高いので、先輩などにもらえそうなら、もらう
- 1〜2年前のものでも大丈夫
- 最近の内容は、病院見学のときに直接聞いておく
⑤病院見学で、面接の材料と最新情報を集める
志望理由や、見学で印象に残ったことは、実際に病院見学に行かないと答えられません。私は、受験する病院に3回見学に行き、面接で話せる具体的な体験を増やしました。また、面接の最新の傾向は、見学のときに研修医の先生に聞いておくのがおすすめです。
面接当日のマナーと、面接後のお礼
当日の流れと基本マナー
過去の受験報告では、次のような流れが書かれていました(病院によって違います)。
- 控え室で順番を待つ
- 名前を呼ばれたら、ノックして入室する
- 入室したら、受験番号と氏名を伝える
- 面接が終わったら、お礼を言って退室する
基本は、挨拶・時間厳守・清潔感・正しい敬語です。服装は、スーツ(落ち着いた色)、白いシャツ、革靴が基本。履歴書の控え、予備の証明写真、メモ帳なども持っていくと安心です。
逆質問と、面接後のお礼
面接の最後にある逆質問では、病院のホームページに載っていることは聞かないのが基本です。また、病院見学や面接のあとは、当日中(遅くとも翌日)にお礼を送るのがよいと言われています。テンプレートのままではなく、感じたことを一言入れるのがコツです。
マッチング面接のよくある質問
Q. 面接はいつから準備すればいい?
A. 履歴書の準備と並行して、6年生になる前から少しずつがおすすめです。志望理由は病院見学での体験をもとに作るので、病院見学を早めに始めることが、そのまま面接対策になります。
Q. 圧迫面接はある?
A. 私が受けた3つの病院では、どこも和やかな雰囲気で、圧迫される感じはありませんでした。ただし、病院や面接官によって違うので、過去の受験報告や、見学時の情報を確認しておくと安心です。
Q. 併願先を聞かれたらどう答える?
A. 聞かれる病院があります。うそをつくのは避けた方がいいと思います。答えは事前に決めておき、「なぜこの病院を志望するのか」を、自分の言葉で話せるようにしておきましょう。
Q. 緊張して頭が真っ白になったら?
A. 無理に取り繕わず、「少し考えてもよろしいでしょうか」と落ち着いて伝えてよいと思います。結論を先に言い、短く話すことを意識すると、立て直しやすくなります。
まとめ:回答を書き出して、同期と練習しよう
- 面接は病院の選考手続きの一つ。受けなければ、その病院にはマッチできない
- 私は3病院を受験。面接官は3〜8人、5〜15分、雰囲気は和やかだった
- 滑り止めも、「研修してもいい」と思える病院を選ぶ
- 質問は、志望理由・自己PR・医師像・併願などに分けて準備する
- 回答は、理由+体験、強み+エピソード、短所+改善策、の「型」で作る
- 質問ごとに回答を書き出し、丸暗記せず、要点を自分の言葉で話す
- 大学の同期と模擬面接を2〜3回やると、本番の予行演習になる
- ハローマッチングは1冊持っておく。古くても大丈夫。最新情報は見学で聞く
面接は、準備した分だけ自信になります。この記事が、これからマッチングの面接に臨む医学生の参考になればうれしいです。



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