医学部の地域枠や推薦はずるい?

受験
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  • 「高校3年間の評定が良い、もしくはその地域に生まれたというだけで学力も伴わないのに地域枠や推薦で医学部に入学するのはずるい」
  • 「医学部に地域枠や推薦で入学するのは、一般入試で入学するのに比べて簡単だから受験として公平じゃない」

このような意見を耳にした医学部生や医学部受験生の方、もしくは実際にこのように感じている方もいるのではないのでしょうか。

実際に医学部に地域枠や推薦で入学した人、入学しようとしている人の中には、周りの一般入試で入学した医学生や一般入試で入学しようとしている医学部志望者から批判の目で見られるのではないかと不安な方もいるでしょう。

僕も受験生の頃は推薦や地域枠で入学する学生をなんとなくずるいと感じていました。

しかし一般受験で医学部に入学した今、医学部に地域枠や推薦で入学するのは全くずるいことではないと考えています。

当記事では、医学部の地域枠や推薦がずるいと言われる理由を踏まえた上で、地域枠や推薦は本当にずるくないと考えられる理由について現役医学生の立場から説明しました。

実際に医学部に地域枠や推薦で入学した医学生や医学部受験生の意見・考えも参考にしました。ぜひご覧ください。

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医学部の地域枠や推薦がずるいと言われる理由

まずは医学部がずるいと言われる理由についてみていきましょう。

ネットの意見や実際に医学生、医学部受験生から聞く理由は以下のようなものです。

  • 理由①学力・偏差値が低くても合格できる可能性がある
  • 理由②高校3年間の評定や活動内容が評価される
  • 理由③出願できる人員が地域で絞られている

以下で詳しくみていきます。

理由①学力・偏差値が低くても合格できる可能性がある

まずは、推薦入試や地域枠での受験の場合、学力・偏差値が低くても合格できる可能性があるということです。

このように必要となる学力・偏差値が低くなるのは、推薦入試や地域枠での受験の場合、

  • 一般入試で受けなければならない比較的難しい2次試験を受けなくて良いことがある
  • 一般入試に比べて共通テストの点数が5%ほど低くても合格できる
  • 一般入試に比べて受験倍率が低い

以上のような事実があるためです。

高校が責任を持って推薦してきた生徒であるということに加え、面接や小論文など他の評価軸で受験層を絞られているため、2次試験の難しい試験が不必要とされたり、共通テストで合格となる点数が低かったりするのです。

また、地域枠の場合には、卒後の縛り(基本的に卒後9年間はその都道府県が指定する地域で勤務しなければならなかったり、将来なれる診療科が絞られたりする)を課されるため、受験者が少なかったり、必要な学力が低かったりします。

入学してしまえば同じ医学部生なのに、入学方法によって必要な学力が低くて済むのはなんとなくずるいと感じてしまいますよね。

このような一般入試と比較したときの学力差に不満を抱いている人が多くいるようです。

理由②高校3年間の評定や活動内容が評価される

特に推薦(地域枠推薦も含む)の場合、高校3年間でどのような成績を取ってきたか、どんな活動をしてきたかということも評価の対象となります。

具体的には、

  • 部活や学外のクラブ活動で残した結果
  • ボランティア活動への参加
  • 学校行事への取り組み

などです。

また、高校3年間の評定によって日頃から真面目に勉強してきたのかということも評価されます。

このような学力とは別の部分が評価されることに対して不公平さを感じている方もいるようです。

理由③出願できる人員が地域で絞られている

特に地域枠での受験の場合、出願できる要件が住んでいる地域で絞られている場合がほとんどです。(卒後その地域で働くことを条件に全国から募集している大学もあります。)

医学生P
ぷく

どこに住んでいるかというのは完全に運ですもんね。

このように、住んでいる地域という学力とは別の部分で出願の可否が決まることに不満を抱いていた人もいたようです。

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医学部の地域枠や推薦がずるくない理由

医学部の地域枠や推薦がずるいと言う人のほとんどは、ここまで説明してきたような理由で不公平さを感じているようです。

これに対して、筆者は医学部の地域枠や推薦は全くずるくないと考えています。

こう考える理由は以下のようなものです。

  • 学力や偏差値で求められるレベルが一般受験に比べて低いとしても、面接や小論文でそれ相応の能力の求められる
  • 推薦の機会は平等に与えられている
  • 地域枠の場合、卒後の縛りという大きなデメリットもある

以上の理由について説明を加えていきます。

理由①面接や小論文でそれ相応の能力の求められる

まず最初に、医学部の地域枠や推薦がずるくないと考えられる大きな理由が、学力や偏差値で求められるレベルが一般受験に比べて低いとしても、面接や小論文において普通のペーパーテストでは測れない対人スキルや論理的思考力を持っていることが求められるということです。

面接や小論文では、一般的に以下のようなの能力が求められます。

▼面接で必要とされる能力

  • コミュニケーション能力
  • 相手の意図することを正しく汲み取る能力
  • 自分の考えを適切に伝える能力
  • 場の空気を読む能力
  • マナー・身だしなみ・表情・敬語など

▼小論文で必要とされる能力

  • 読解力
  • 発想力
  • 論理的思考力
  • 表現力

まず面接では、面接官の質問の意図をきちんと理解して、相手が納得するような答えを自分の経験や体験に結びつけながら相手に適切に伝わるように話す力が必要となります。これは簡単なようで、かなり難しいです。

相手の質問の意図を完全に把握することも、相手が納得するような答えを考えることも、その答えを相手に伝わるように伝えることも、自分ではできると思っても実際にやってみると半分も理解できていない、伝えられていないことが大半だからです。

また、小論文では、特定の課題やテーマに対して問題となっていることを深く掘り下げ、自分の考えを整理して相手に伝わるように書くことできる能力が必要となります。

こういった能力は、一般教科の学習によるものだけでなく、周囲の人とのコミュニケーションや読書、ニュースや新聞によって取り上げられている問題に対して日頃からどれだけ自分なりに思考することができているかに基づきます。

学校推薦や地域枠推薦では、そういった対人スキルや論理的思考力、ライティング能力を学生の頃から人並み以上に身に付けつけてきた人が合格するようになっているのです。

つまり、推薦入試と一般入試では重視される評価項目が違うというだけで、どちらの方が簡単ということではないのです。

これに対して、

  • 学生なのだからどの大学入試もペーパーテストで測ることができる学力・偏差値という指標で評価されるべきだ
  • 一般受験でも面接を行うのだから一般受験の方が求められるハードルが高い

と言われることがあります。

まず筆者は学生の能力が学力・偏差値という指標だけで評価されるべきだとは思いません。

そもそも社会に出たとき(医学生となり将来医者になった時に)必要とされる能力は、学力で測ることができるものだけではありません。

学力で測ることができる能力ももちろん必要ですが、それに加え、対人能力やコミュニケーション能力、自分の考えを伝える力も同じくらい大切です。

一般入試ではなく推薦入試で受験するというのは、自分の得意な分野をより活かせる試験を選んでいるに過ぎないのです。

また、一般受験でも面接を行うのだから、一般受験の方が求められるハードルが高いというのは本当にそうでしょうか?

推薦入試の場合、一次試験として面接が行われたり、評価される試験が共通テストと面接、小論文だけだったりするため、学生の評価として面接の占める割合は大きいでしょう。

面接が重視される分、求められるレベルは高くなります。一般入試の場合、面接では一般的なコミュニケーションが取れるくらいで良いでしょうが、推薦の場合より高いレベルのコミュニケーション能力、対人スキルが求められます。

つまり、これも重視される評価項目が違うだけで、一概に一般入試の方が難しいとは言えないということです。

理由②推薦の機会は平等に与えられている

次に、医学部の地域枠や推薦がずるくないと考えられる理由は、推薦入試の場合、その機会が平等に与えられているからです。

基本的に高校3年間の評定で一定のレベルを超えている場合、誰でも推薦に応募することは可能です。(ただし学校推薦の場合、学校ごとに決められた募集人数に入ることが必要です。)そのため、推薦がずるい、推薦の方が簡単に医学部に入学できると思っているのであれば、推薦で応募すれば良いだけの話だと言えます。

高校の定期テストを真面目に頑張ってこなかった人、1,2年生の頃はそこまで勉強してこなかった人の中には、評定が届かなくて推薦に応募できない人もいるかもしれませんが、高校1年生の頃から努力して定期テストで良い点数を取る機会はすべて人が平等に与えられていたわけです。

高校3年間になって評定が足りないという人は、努力する期間が足りなかったと言えます。

理由③地域枠の場合それ相応のデメリットもある

地域枠で医学部を受験する場合、確かに一般受験よりも低い学力・偏差値で入学できる可能性が高いです。

しかし、地域枠で入学する場合、学生の頃には自分ごととして理解できないような大きなデメリットも存在します

そのデメリットとは、卒業後の勤務先・就職先が制限されるというものです。

地域枠で入学する場合、義務として卒業後の9年間(大学によっては卒業後の6~11年間)は都道府県が指定する地域で働かなければならないことがほとんどです。また、大学によっては救急や小児科、産婦人科、総合診療科のみと診療科を限定されている場合もあります。

学生の頃から、結婚や将来のライフプラン、自分が本当にやりたいこと、なりたい医師像を具体的に考えて医学部に入学する人は少ないのではないでしょうか。

しかし、地域枠で入学すれば、卒後の縛りがあるため、その地域で結婚して家庭を築き、基本的には生涯その土地で臨床医として働くことが決まってしまいます。

一方、在学中の6年間というのは何が起こるかわかりません。想定外の分野に興味を持ったり、憧れの教授・先生と出会って入学時とは180°気持ちが変化したり、都会で就職したいと考えている恋人と付き合ったりすることもあるでしょう。そんなとき、「都会の有名病院に就職したい」「臨床医ではなく研究医になりたい」「美容外科や放射線科にいきたい」と思っても入学後では遅い場合もあります。

きちんと考えずに簡単だからという理由だけで地域枠で入学してしまうと、後悔することにもなりかねません

受験生の立場からすれば地域枠がずるいと思う気持ちもわかりますが、長期的に見ればデメリットの大きい入学方法だということです。

ぷくちゃ
ぷく

医学部の地域枠について詳しく知りたい人はこちらの記事をご覧ください。

医学部の地域枠とは?メリット・デメリットを比較!

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まとめ

医学部の地域枠や推薦がずるくない理由としては、

  • 学力や偏差値で求められるレベルが一般受験に比べて低いとしても、面接や小論文でそれ相応の能力の求められる
  • 推薦の機会は平等に与えられている
  • 地域枠の場合、卒後の縛りという大きなデメリットもある

ということでした。

勉強が1日の大半を占める受験生にとって、一般的な受験方法とは異なる推薦や地域枠での受験はなんとなく不公平に思えるものです。

医学部の地域枠や推薦では、一般受験とは違う評価軸で比べられるということをきちんと踏まえた上で、地域枠の場合にはそれ相応の大きなデメリットもあるということを知っておかなければなりません。

地域枠での入学を検討している人は、もう一度地域枠のデメリットを確認して、自分がその状況に至った時に本当に納得できるかどうか考えた上で、地域枠で受験するのか検討してみてください。

 

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