現在、なりたい職業として医者の人気はすごいものです。その現実は、入試における医学部の倍率の高さにも表れており、普通の大学の一般学部に比べると倍以上になっている大学もあるほどです。
医者の人気を高めている理由は何でしょうか?その一番の理由は、平均約1169万円という高い年収を安定して稼げるからでしょう。人の命に係わる重要な仕事であり、多忙ですが、やりがいがあって高い年収を稼げるためとても人気が高いのだと考えます。
では、医者の年収は今後どうなるのでしょうか?医者の年収が高いという現実は変わらないのでしょうか?
今回はそういった疑問に今回答えていきたいと思います。
この記事を読むことで、医者という職業が今後どうなっていくか想像でき、医者を目指すべきなのか、それとも医者になるのはやめるべきなのかがわかると思います。ぜひ自分の将来設計の参考にしてください。
01医者の年収は下がる?
02医者の供給過多
03医療費の削減
04医者を目指すべきか?
医者の年収が今後下がるのかという疑問についてですが、結論、おそらく下がります。
年収に関わる要因はいくつか挙げられますが、最も大きなものは、需要と供給のバランスです。誰かの提供するサービスに対して需要が高ければ、そのサービスを提供する人の報酬は高額になります。一方、その人の提供するサービスが多数の人によって代替可能である、つまり需要より供給が多ければ、そのサービスを提供する人の報酬は少なくなるでしょう。これが市場原理であり、この原理によってサービスの値段は決まります。医者が行う医療行為も一種のサービスです。それに対して需要が高ければ報酬は高くなりますし、供給の方が多ければ報酬は少なくなります。
そして今後、医者の需要は減り、供給が増えていくと考えられます。その原因は、AI技術の台頭や医者の増加などによるものです。
このことが大きな原因となって、医者の年収は大きく下がると見込まれます。
また、現在の日本には医療保険という公的制度が存在し、日本人の多くがその制度に加入しています。医療保険により、私たちの医療費は3割の負担で済んでいるのです。逆に、医者は提供したサービスの3割の報酬しか受け取っていないため、国から残りの7割を受け取っています。
今後、少子高齢化により医療費を削減しなければならなくなるでしょう。医療費の削減も医者の年収ダウンにつながると考えられます。
01で話したように医師の供給が増えるため、需要が減っていくと考えられます。この大きな理由としては、これまで行ってきた医学部入学定員の増加により医者が増えすぎたことが原因として考えられます。
1960年ごろまで医学部の定員は2800人程度でした。しかし、そのころから医師不足を解消するため、医学部の定員を徐々に増やし始め、1997年には7625人まで増加し、2022年現在では約3.3倍の9374人にまで増えました。
このように徐々に医学部定員が増加してきたため、必然的に医者の人口も増加しました。今後も医者の人数は増え続けると考えられます。
医師需給分科会により発表された「医師の需給推計」によると、労働時間を週60時間程度に制限した場合2028年ごろ、労働時間を週55時間程度に制限した場合2033年ごろに医師の需要と供給が均衡すると発表されました。このように医師の数が少ないと叫ばれていた時代は終わり、医師の余る時代が近い未来にやってきます。そのため、なんの専門性も持たない代替できる医者は需要がなくなっていくと考えられます。
医療費の削減は医師の年収面において大きな影響を及ぼします。医師の給料は医療保険という制度によって国に大きく依存するからです。医療費の減少の背景には、少子高齢化があります。
現在の日本において少子高齢化が進んでいることは有名でしょう。2022年現在、日本の高齢者人口(65歳以上の人口)は、35,733,999人で、総人口に占める割合は28.4%です。高齢者の割合は今後も増え続け、内閣府の発表によると2040年には人口の約35%が高齢者になると予測されています。高齢者が増えれば、医療費が増えることは容易に想像できます。
一方、少子化により医療費を負担する20~60歳の現役世代の人口はどんどん減っていきます。医療費を負担する現役世代の人口が減少すれば、財源を確保することもできません。
このように、医療費が増加する一方、医療費の財源を確保することができないため、患者一人当たりにかけられる医療費は減っていきます。つまり、医師は一人一人の患者を少ない給料で診察、治療しなければならない日が来るのです。
市場原理と現状から考えられる将来の問題をもとに、医者の年収が今後減少する未来が予測されるということを説明しました。では、医者の年収が下がることが予測される中、医者を目指すべきなのでしょうか。
結論、医者になりたい確固たる信念がある場合、医者を目指すべきだと思います。
その理由は、ここでいう年収が下がる医者というのは、特別な専門性がなくても高収入を得ることができていた医者のことを指すのであり、高い専門性を持つ能力の高い医者の年収は下がることはないと考えるからです。
現在フリーランスという言葉が注目されるように、集団というよりは個人が力を持つようになりました。この背景には、SNSによって一人一人が自分の言いたいこと、やりたいことを自由に発言することができるようになったことがあります。
医者もSNSによって個の力を発揮できるようになったのです。能力の高い医者は、SNSにより有名になり、世界中の多くの人から必要とされます。能力の高い医者となることができれば、自分に対する需要も高まるため、年収も必然的に上がっていきます。これまでは医者になれば安泰が保障されていましたが、今後は自分で能力が高く需要のある医者とならなければなりません。医学に興味を持ち、本心で医学を極めたいと思う人にとっては、個の力がものをいう、好きなことを仕事にできる今の世の中では、より自由でより良い生活を望めるでしょう。
医者の供給過多、医療費の削減によって全体的な医者の年収は下がるかもしれません。しかし、個の能力を極める医者にとってはより自由でより豊かな生活を送れるようになりでしょう。医学に興味があり、医学を極めたいと思う人は、ぜひ医者を目指してください!
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